社長交代後、新たに社長に就任した場合、新社長としてさまざまな業務に当たらなければなりません。社長交代という出来事は、組織に大きな影響を与えるものです。従業員が新体制下でも十分に能力を発揮し、モチベーションを維持していくためには、新社長が社内に向けて経営のビジョンを明確に示すなど、さまざまな対策が必要となります。
しかし、企業のトップである社長の交代の影響は、社内だけにはとどまりません。新社長として売上を落とすことなく、さらに会社を成長させるためには既存の取引先との関係を良好に維持することも重要であり、取引先への挨拶状の送付も、社長交代後の大切な初仕事の1つだと言えます。
そこで今回は、社長交代後、初仕事として取引先に挨拶状を送付する重要性や挨拶状の作り方など、より安定した経営基盤を築くために知っておきたい対策についてご説明します。
社長交代後の初仕事として取引先への挨拶状送付が重要なワケ
社長交代後の初仕事として、取引先への挨拶状の送付は大きな意味を持ちます。新体制としてのスムーズな船出を実現するための対策として、なぜ挨拶状の送付が重要になるのでしょうか。
なぜ社長交代の挨拶状が必要なのか?
社長交代後は、さらによい結果を出すために、前社長とは異なるオリジナルのカラーを打ち出し、事業を進めていきたいと思うケースがあるかもしれません。しかし、社長交代後、まず新社長がすべきことは前社長が築いた企業文化や取引先との関係を継承し、これまでの企業の歴史を尊重することです。
既存の取引先への挨拶状の送付は、相手先企業に対しての礼儀であり、事業をスムーズに承継する第一歩となります。
企業間の信頼関係を強化する挨拶状の効果
ビジネスは信頼のうえに成り立つものです。しかし、企業の最高責任者でもある社長が交代し、体制が変わったにもかかわらず、日頃お世話になっている相手に対し、何も挨拶がなかった場合、取引先はどのように感じるでしょうか。
挨拶状を送付しない場合、何かをきっかけに取引先が社長交代を知る可能性があります。社長交代を知らされないまま取引を継続していたとなれば、取引先との信頼関係は失墜する恐れがあるでしょう。信頼関係が破綻すれば取引停止につながる可能性も高まります。
社長交代後の挨拶状の送付は、企業間の信頼関係をより強固にするツールでもあるのです。
取引先への第一印象を左右する重要なポイント
第一印象のよさはビジネスにも直結します。丁寧な文章で綴った挨拶状は、相手への尊敬の気持ちを伝えるものです。正式な文書である挨拶状で新たな体制についてのお知らせをすれば、相手を大切に思っている気持ちを伝えることができるでしょう。
また、挨拶状の送付によって礼節を重んじる組織であると捉えられ、社長交代後も安心して取引ができる信頼できる相手だという印象を与えられるはずです。
挨拶状を送るタイミングと最適な時期
社長交代後、初仕事の1つとして挨拶状を送付することの大切さをご説明しましたが、挨拶状の送付には適したタイミングがあります。
社長交代後の初仕事として
社長交代についてお知らせする挨拶状の送付タイミングは、社長交代から1週間以内が目安と言われています。社長交代に伴う諸々の手続きが必要になり、社長交代後は何かと忙しい時期ですが、社長交代後の大切な初仕事の1つとして挨拶状の送付を忘れないようにしましょう。
送付時期によって与える印象の違い
挨拶状の送付の遅れは、取引先への報告の遅れを意味します。報告の遅れは、相手を軽んじていると思われても仕方のない行為です。取引先への通知が遅れれば、不信感につながる可能性もあるでしょう。信頼関係にひびが入れば、取引にも影響する恐れがあります。大切な相手に真っ先に新体制について報告したという姿勢を見せるためにも、社長交代後の初仕事として、挨拶状は就任後、すぐに送付するようにしましょう。
社長交代の挨拶状に盛り込むべき内容とは?
社長交代を知らせる挨拶状を作成する機会はそれほど多くはありません。そのため、挨拶状の文面にはどのような内容を盛り込むべきか悩んでしまう場合もあるのではないでしょうか。
ここでは、社長交代の挨拶状の基本的な書き方や記載すべき内容についてご説明します。
基本的な挨拶状のフォーマットと書き方
挨拶状はフォーマルな形式で作成することが一般的です。せっかく挨拶状を送付しても、挨拶状の書き方のマナーを把握していなければ、相手に対して失礼となる可能性もあります。挨拶状の基本的な書き方を確認しておきましょう。
挨拶状に必ず記載すべき要素
挨拶状は、前文、主文、末文、後付けで構成されます。前文は、謹啓や拝啓といった頭語と呼ばれる語句で開始し、時候の挨拶を続けます。主文は、挨拶状を送付した目的に当たるものです。社長交代の挨拶状であれば、社長が交代した旨を報告する内容を本文として記載します。次に、手紙を締めくくる言葉となる末文を入れ、頭語と対になる結語を入れます。
過去の実績と今後の経営方針を伝える方法
挨拶状には、前社長がお世話になったことについてのお礼も含めるようにしましょう。ただし、挨拶状は本来、社長交代についてのお知らせをし、今後も変わらぬ取引をお願いすることが目的です。そのため、一般的には社長交代を知らせる挨拶状の中で、前社長の実績等について記載することはありません。もし、前社長の就任時代の実績を伝えたい場合は、企業の歴史をまとめる社史を作成するとよいでしょう。社史を効果的に活用すれば、企業PRにもつながります。
また、挨拶状では新社長の抱負を端的な言葉で伝えることはありますが、過去の実績と同様に具体的な経営方針を書き記すことはありません。新体制になってからの経営方針を従業員以外にも広く伝えたい場合には、社長就任披露パーティーを開催し、今後のビジョンや戦略について説明するとよいでしょう。その場合は、社長交代の挨拶状の中で、社長就任披露パーティーについてもお知らせをし、パーティーの日時や場所も記載したうえで、出席をお願いするようにします。社長就任披露パーティーを開催する場合は、出欠を確認する返信用のはがきを同封することも忘れないようにしましょう。
効果的な挨拶状を作成するためのポイント
社長交代後の挨拶状は、新体制になってから初めて取引先に対して行う挨拶です。挨拶状を受け取った相手に、好印象を与えるポイントとして、次のことに気をつけると良いでしょう。
シンプルかつ誠実な表現を選ぶ
挨拶状では、伝えたいことをシンプルに、美しい言葉を用いて表現します。大げさな表現はときに誤解を招く恐れがあり、長い文面は本当に伝えたい大切な事柄がぼやけてしまいがちです。そのため、挨拶状では誠実さが伝わるようシンプルかつ改まった言葉を用います。
円満な社長交代とスムーズな事業継承を強調する
社長交代にはさまざまな理由があります。会社によっては派閥争いによって社長が交代するケースも考えられるでしょう。そのため、企業の最高責任者である社長の交代は、取引先にさまざまな憶測を生む恐れもあるのです。
社長交代が円満に行われたものであることをアピールするためには、挨拶状に新社長による就任の挨拶だけでなく、前社長の退任の挨拶も組み入れるとよいでしょう。前社長が後任として新社長を紹介し、新社長に対しても自身のときと同じような厚誼をお願いすると、事業がスムーズに次世代に引き継がれているという印象を与えられます。
挨拶状送付後のフォローアップとその重要性
社長交代後の挨拶状の送付は、取引先に社長交代を知らせる当然のマナーですが、より取引先との関係性を強化するためには挨拶状送付後のフォローアップも大切です。
挨拶状だけで終わらせないためのコミュニケーション方法
挨拶状送付後に取引先とより良好な関係性の構築するためには、取引先とのこまめなコミュニケーションがカギとなります。
取引先との関係強化に向けたアフターフォロー
重要な取引先の場合は、挨拶状を送付した後、直接訪問をして新社長に就任したことを伝えるとよいでしょう。新社長が挨拶のために直々に訪問するとなれば、相手に対し、強い敬意を抱いていることの証明ともなります。より強固な関係性を築きたいときには、挨拶状送付後に改めて訪問し、引き続き良好な関係をお願いしましょう。
ただし、訪問先の社長も多忙であることが多いため、不在にしているケースもあります。必ず挨拶をしておきたい相手であれば、事前にアポイントを取得してから訪問するとよいでしょう。
定期的なコミュニケーションが企業成長につながる理由
売上を伸ばすためには、新規の顧客を増やすだけでなく、既存の取引先との関係も維持しなければなりません。定期的にコミュニケーションをとることが自社への理解や信頼の高まりにつながり、新たな製品やサービスの購入、さらに上級レベルの製品・サービスの購入につながる可能性もあります。
社長就任後の初仕事として挨拶状を送付したら、挨拶状の送付だけで終わらず、定期的にコミュニケーションをとることも、事業をスムーズに承継するための対策として重要です。
挨拶状送付後に注意すべきリスクとその対応
社長交代後、挨拶状の送付によって取引先などから不安の声が上がる場合もあります。しかし、社長交代後に起きやすいトラブルを予め想定したうえで事前対策を講じておけば、万が一の事態が発生した場合でもスムーズに対処することができるでしょう。
誤解や不安を招かないためのコミュニケーション対策
前述のように、社長交代と聞くと取引先では、社長交代に至ったさまざまな背景を推測する可能性があります。また、社長交代後に経営方針が変更され、取引にも影響が出るのではないかという不安を抱かせてしまう場合もあるでしょう。
取引先に不要な心配を与えないためには、挨拶状送付後に担当者からも報告を入れるなどして、円満な社長交代であることや今後も変わらぬ取引をお願いしたい旨を伝えることが大切です。
社内での情報共有と一貫した対応の重要性
社長交代後は社外に対しての取り組みに意識が向きがちですが、社内の従業員に向けて社長就任の挨拶を実施することが、社長交代後の本来の初仕事ともいえます。従業員にも新体制についての不安を抱かせることがないよう、社長交代の経緯や新体制での経営方針などをしっかりと周知し、情報を共有することも大切です。万が一、従業員が社長交代について何かしらの不安や不満を感じ、取引先に不確かな情報を伝えてしまえば、経営にも影響を及ぼす可能性があります。
社長交代後は、まず従業員の士気を高め、個々の従業員が取引先などから社長交代の理由や今後の方針などについて質問を受けた際、一貫した対応ができるような状態に整えることも大切です。
まとめ:挨拶状の作成ご依頼は挨拶状の達人へ!
社長交代後、前社長が築いてきた事業や企業精神を引き継ぐとともに、さらに会社を発展させるという使命を全うするためには、まずは基礎をしっかり固めることが大切です。より強固な基盤を築くためにも、これまで会社の成長を支えてくれた取引先に敬意を示し、社長交代についてのお知らせをする挨拶状の送付を忘れないようにしましょう。
挨拶状の達人は、創業70年以上の歴史を持つ挨拶状印刷の老舗です。リーズナブルな価格で美しい仕上がりの挨拶状を作成いたします。社長交代後の挨拶状の作成は、挨拶状の達人にお任せください。
■監修者 大川 ユカ子のコメント
社長交代後、新社長として取り組むべき初仕事は多岐に渡ります。しかもそれぞれにスピード感をもって向き合う必要があるため、段取りよく準備を進めることが大切です。中でも、社長交代ならびに新社長就任をお知らせする挨拶状の送付は、社長交代後の重要な初仕事の一つといえるでしょう。なぜなら、取引先や関係者など社外の人にとって、相手先の社長交代は大きな出来事であり、今後の取引に影響はないのか、事業の方向性を見直す必要が生じてしまわないか、など心理的負担を背負うことにも繋がるからです。先方との信頼関係を継続し、今後も変わらぬ取引をお願いするためにも、社長交代後の挨拶状は丁寧かつ適切な文章で作成し、速やかに送付することが第一です。一方で、社内に対するアクションも蔑ろにすることがないよう気を配ります。社外のみならず従業員にとっても、社長交代は衝撃的なニュースです。社員が動揺し、通常業務が滞ることなく継続されるよう、社長交代後は心のこもった挨拶をすることが重要です。未来に向けてのビジョンを示し明るい未来をイメージさせることで従業員との信頼関係を築き、社内の結束と士気を高めることこそが新社長の初仕事と捉え、ぜひ邁進してください。
■監修者プロフィール
一般社団法人スマートマナークリエイト
代表理事 大川 ユカ子
学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(A N A)客室乗務員として国際線チーフパーサーや政財界のV I
Pフライト、ファーストクラスパーサーを担当する。のちに一般社団法人スマートマナークリエイトを設立。代表理事として企業研修や医療接遇、接客指導、マナー講師、幼児マナー教育を中心に活動を続ける。セミナー受講者数のべ12,000人以上。
〈メディア〉
日本テレビ 「news every 」出演 / ビズアップ総研 「場の空気の読み方」D V D出演 / 気持ちよく引き受けてもらう「頼みかた」D V D出演 / フラワーラジオ定期出演 / 雑誌
「ネイルUP!」(マナー特集)/ 小学館 美レンジャー(WEB記事)/ 美容業界季刊誌 「ガモウニュース」連載/ 書籍「おもてなしの教科書」 / 電報のマナー(冊子) (ほか多数)